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Column
シャトー・ラ・ラズ・カマン・ルージュ 2017
ワインテイスティング

シャトー・ラ・ラズ・カマン・ルージュ 2017

【品種構成】
メルロー 55%
マルベック 15%
カベルネ・ソーヴィニヨン 15%
プティ・ヴェルド 10%
カベルネ・フラン 5%

【生産者情報】
https://midoriya-saketen.co.jp/articles/640/

 普段は兎角意識しないものの時の流れは急なようで、最後にフランスへ行ってから既に4年が経過している事を、facebookの思い出機能に教えられました。

 私が行った2018年はフランスでも特に温暖な年でした。普段ですと5月下旬の北フランスはまだ肌寒い事が多く、上着を持ってくるよう推奨されていたのですが、その時のメンバーは全員半袖。暑いくらいの気温でした。

 北フランスですらそんな状態でしたので、ずーっと南下したボルドー地方は言わずもがな。ボルドーに着いた傍から赤ワインばかりの試飲となり、初日から酔いとは違う眩暈を覚えたような気がしました。(水分はしっかり摂ってます!)

 しかしながら、そんな中であってもカールさんとラファエルさん兄弟が造る「シャトー・ラ・ラズ・カマン・ルージュ」の味わいは格別でした。あのワインをもう一度味わいたくなり、本日試飲することに致しました。

 詳しい説明は生産者情報に譲るとして、簡単にご紹介させて頂きます。

 シャトー・ラ・ラズ・カマンはボルドー地方のコート・ド・ブライ地区という所に在ります。このエリアは、ボルドーとしてはとてもマイナーなエリアです。しかし、そんな中でも誠実な仕事を続けている彼らのワインは一際評判となっています。

 丹精込めて育てられ、それぞれ区画ごとに収穫・醸造し、最後にブレンドをされて完成する珠玉のメルローは、他のワイナリーでは真似できないであろう丁寧な仕事です。

 前置きが長くなりましたが、そんな彼らの最高のメルローをふんだんに使った「シャトー・ラ・ラズ・カマン・ルージュ」を試飲したいと思います。

 輝きを湛えた中程度のガーネット色で、縁はやや紫が抜け赤が主体の色調となっています。やや粘性を感じさせる雫があり、凝縮感を期待させます。

 アタックにはコーヒーやクローブを思わせるほろ苦いく甘い香りがあり、レーズンの香りも感じます。樹皮やなめし皮、スモーキーさなどの要素もあり複雑さがあります。

 グラスを回し、時間を置くとトースト香が感じられるようになり、ラズベリーのジャムやブルベリーリキュールのような果実の香りも現れます。

 口に含むと、トーストやコーヒーの樽香と共にクローブのような香辛料の香りが一気に広がります。レーズンやラズベリージャムのような黒系果実の香りは控えめです。凝縮感に比べタンニンの衝撃は強くなく、なめらかさを伴った舌ざわりが心地良いです。

 ボルドーらしい迫力を保ちつつ、メルローの柔らかい果実感をほどよく引き締めたような、そんな印象を持った赤ワインでした。凝縮した果実感と複雑な香りは、これからの良熟成を期待させてくれます。

 飲む際には1時間以上前の抜栓がおすすめ。ワインを楽しみつつ酔いが回ってくる時間の中で、この赤ワインもどんどん新たな香りが開き、色々な表情を見せてくれます。

 現段階で5年の熟成をしていますが、この分だと更に5年は確実に美味しいバランスで熟成するでしょう。このワインを開けるタイミングで、少し脂の乗った赤身肉のステーキが食卓にあれば、もう他に言う事はありません。

小林

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