Midoriya Vin Nature
Column
ジェラール・シュレール/ピノ・グリ・レゼルヴ 2009
ワインテイスティング

ジェラール・シュレール/ピノ・グリ・レゼルヴ 2009

GERARD SCHUELLER ET FILS / Pinot Gris Réserve 2009

【品種】
トカイ・ピノ・グリ 100%

ジェラール・シュレールの紹介ページ
https://midoriya-saketen.co.jp/articles/1082/

 宝探しの時間がやってまいりました。

 アルザスに於ける自然派ワインの雄「ジェラール・シュレール」のバックヴィンテージの試飲です。数ある候補の中から、今回は2009年産のピノ・グリ・レゼルヴに決定しました。

 ただ畑とブドウに心血を注ぎ、今までやってきた事を続け、やってこなかった事を試すという試行錯誤の中で珠玉のブドウを育て上げるブルノー氏。醸造はそんなブドウの力を自由に発揮できるように、可能な限り自然に任せています。

 そんな彼のワインの特徴は、なんと言ってもその「凝縮感」。

 ブドウの凄まじい生命力を感じるかの如く広がる味わいは、やや濃いめのワインに向けられる凝縮感とは全く別の物です。果実味、厚み、酸味、甘み、そして時には渋みが強烈に発揮されています。

 その為、抜栓のタイミングを間違えるとかなり酸っぱい味わいであったり、時には果実味が閉じていて他の強烈な要素ばかりを感じ取ってしまうような事もあります。

 今回試飲するピノ・グリ・レゼルヴは現時点で14年の時を経ています。

 一体、どんな表情を見せてくれるのでしょうか。

 グラスに注ぐと、艶のあるゴールドの色調が目に映ります。ワインはしっかりと澄んでおり、やや強めの粘性からエキス分の強さを感じ取れます。

 香りにはブランデーやマロングラッセ、そして仄かなシェリー酒のアタック。その後に花梨ジャムやマーマレード、キャラメルのアロマが広がっていきます。

 口に含むと滑らかに口中に広がり、芳醇な香りが膨らんできます。香りに感じ取れた要素に加え、ローヤルゼリーの香りも覗かせます。ピノ・グリという品種としてはかなりドライな味わいになっており、酸味は強いですがまろやかさがあります。

 アフターにはブランデーやローヤルゼリー、煮詰めたシトラスの香りが長く続き、優雅で蠱惑的なひと時を楽しむ事ができます。

 ワインの香りや味わいを構成する要素がとても多いので、このワイン単品でも楽しめますが、お食事と一緒だと尚一層楽しめそうです。

 トロトロに熟成したウォッシュチーズや、アメ色たまねぎを加えたポテトグラタン。メインでは豚や鶏のローストにシェリーソースやオレンジベースのソースを合わせて、またエリア違いですが、ジュラ地方の料理「鶏とモリーユ茸のヴァンジョーヌ煮込み」もかなり相性が良さそうです。

 ご自宅でじっくりと14年という年月を感じるも良し、レストランに持ち込んで特別なお料理と合わせるも良し。いずれにせよ、ゆったりと優雅な時間を楽しみながら味わうのがおすすめです。

小林

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