Midoriya Vin Nature
Column
クロ・ラ・クータル 2020
ワインテイスティング

クロ・ラ・クータル 2020

【品種構成】
オーセロワ(マルベック) 80%程度
メルロー 20%程度

 本日は赤ワインを試飲しました!

 夏本番が差し迫って参りましたので、赤ワインを飲むタイミングもかなり減ってしまいそうです。そんな中、大好きなマルベックの最新ヴィンテージが届きましたので、最後のチャンスと言わんばかりに抜栓しました。非常に試飲を楽しみにしていた赤ワインです。

 クロ・ラ・クータルはフランスの南西部、カオール地方の生産者です。フィリップ・ベルネド氏がオーナーを務めます。このエリアは「マルベック」という黒ブドウの名産地で、このブドウから出来たワインは色調が濃く、一時期ポリフェノール効果が流行した際には「黒ワイン」として紹介されました。

 ベルネドさんが造るマルベックのワインは、完熟した果実感の中にも上品さが感じられます。また、濃い味わいに呼応するように樽の風味を強く付ける生産者が多い中、クロ・ラ・クータルでは樽の風味はとても優しくつけていますので、マルベック本来の特徴が良く感じられるワインでもあります。

 ベルネドさんはこのワインを含め、たった3種類しかワインを造っていません。今回試飲したワインと、その上級キュヴェに当たるワイン。そしてその過程で生まれるロゼワインだけです。

 ワイン一本入魂! 誠実な手作業で「生きた畑」にこだわった素晴らしいマルベックです。早速試飲してみます。

 中程度のガーネットの色調をしており、縁までキレイに染まっています。粘性はまろやかさを連想させ、完熟しつつもフレッシュ感のある味わいを期待できそうです。

 アタックにはクランベリーやブルーベリーを煮詰めたアロマがしっかりと香り、針葉樹や紫色の花、カシスリキュールのニュアンスにクローヴのスパイス感を仄かに感じます。

 口中に含むと完熟した果実ならではのまろやかな甘みを感じ、渋みや酸味は穏やかです。甘みと酸味のバランスが良く、味わいに一本芯を通すような酸味には美しさすら感じます。

 完熟した果実感が穏やかに広がるような、飲みやすくも満足感を感じるバランスです。果実味を前面に押し出しつつ、その他の花や樹木、スパイスの香りを仄かに効かせた構成はベテラン・ドメーヌならではの演出です。

 飲んだタイミングが良かったのか、2018年ヴィンテージよりも美味しいワインに感じました。

 品種の特徴を知っている人なら、ブラインドで当てられそうなほどマルベックらしさが香りに表れています。今回試飲した限りでは樽の香りを感じ取れませんでしたので、純粋で健康なマルベックを味わえるキュヴェと言えるでしょう。

 生きた畑にこだわり、造り手の情熱が詰まった「ザ・マルベック」な一本。個人農家の手作りワインなので、地産地消で無くなってしまう、いわゆる地酒です。こういった本物のワインを日本にいながらに味わえる事に、感謝の意が絶えません。

小林


 

コラム一覧へ