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Column
ドマ・ガサック/エロース 2020
ワインテイスティング

ドマ・ガサック/エロース 2020

品種:ソーヴィニヨン・ブラン 70%
   ヴェルメンティーノ30%

造り手の詳細
https://midoriya-saketen.co.jp/articles/775/

 三寒四温とはよく言ったものですが、着実に暖かい日が増えてきています。たまに白ワインが飲みたくなるような陽気がありますね。爽やかさがありながら、でもさっぱりし過ぎていない白ワインが飲みたい感じです。セラーにはいくつも候補がありますが、今回は標題の白ワインを飲んでみる事にしました。

 ドマ・ガサックはラングドック地方の銘醸地、ガサック河周辺にあるワイナリーです。この場所が銘醸地となり得ると発表された当時、ラングドック地方で力強い味わいを持ったワインを造る事が出来る人はいなかったそうです。

 そんな中、この場所の開墾に懸命に挑んだのが、ドマ・ガサックの創始者となる「エメ・ギベール」氏でした。彼の果敢な決断と努力はやがて実を結び、今では「ラングドックのグラン・クリュ」と呼ばれる程になりました。

 今回セレクトした「エロース」は、彼等が造るワインの中ではテーブルワインよりも一つ上のランクのキュヴェです。テーブルワインクラスの「ル・マズリエ」シリーズでも充分に美味しいので、否が応でも期待が高まります。

 ワインはやや濃いめのイエローの色調をしています。2020年と新しいヴィンテージですが、緑掛かった色合いは見えません。やや粘性を帯びているようにも見えます。ブドウの高い成熟度が窺えますね。

 香りの第一印象(アタック)は、完熟した青りんごと豊かな青草の香りです。複雑な香りは特に感じず、気持ちの良いくらいストレートな芳香が駆け抜けます。グラスを回す事で、マンダリンのような良く熟したシトラスの香りも出てきました。

 味わいには熟した果実のふくよかな甘みを感じます。酸味の度合いが素晴らしく、穏やかでありながら非常に伸びやかです。最後までワインに芯を通し、味わいを支えています。

 果実の甘さを下支えしている要素は他にもあり、味わいの最後に感じる優しい収斂味(渋み)が味わいを引き締め、さっぱりとした印象を与えています。この渋みは醸造の過程で、普通の白ワインよりも若干長めに果汁と果皮を浸漬させる事で生み出されています。

 また、余韻のアフターにはグレープフルーツのようなシトラス感も現れ、これも爽快さに一役買っています。

 全体としては完熟した青りんごのフルーティーさを、たっぷりと爽やかに味わえる白ワインと言えるでしょう。しかしながら、この爽やかさを演出する酸味や収斂味、余韻の演出は非凡な物で、巧緻さすら感じさせる程です。

 料理との相性は、魚料理全般と良く合いそうです。良く冷やした状態ではカルパッチョやマリネと、温度を上げた状態ではフリットや香草焼きと相性が良さそうです。

 12~15℃の温度帯に上げると果実の甘味が一層引き立ち、フォアグラの冷菜にも合うとの事。料理との相性も幅広く、食卓をより一層楽しくしてくれそうな白ワインですね。

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