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ガリッグ ~ワインから香る南フランス~
ワインのこと

ガリッグ ~ワインから香る南フランス~

 青い海と青い空、綺麗な街並みがとても美しい南フランス。地中海に面し年間を通して気候が穏やかな事から、ニースやカンヌなどに代表されるようなリゾート地が多く、またヴィンセント・ヴァン・ゴッホやポール・セザンヌなど、多くの画家が愛した場所としても有名です。

 そんな風光明媚な土地から、ハーブの香りがするワインが造られている事をご存じでしょうか。
 ワインの香りには木や草、果実にミネラル、エステル香など多種多様な要素が含まれますが、その中に南フランスで育つハーブをブレンドしたような、そんな風味を持つものが有ります。この香りを「ガリッグの香り」と表現しています。

 ワインの世界で言うガリッグ(ガリーグ)は、野生のハーブを意味する事が多いです。具体的にはタイムやセージ、ローズマリーやオリーブ等が入り混じった香りを表現しています。プロヴァンスハーブのような香りを想像すると分かりやすいかも知れません。
 そういったガリッグの香りは、黒ブドウ、特にシラー種が持つスパイス香とはまた違った風味をワインに与え、香りをより一層華やかにしてくれます。

 なぜ、ワインからガリーグの香りがするのでしょう? もともとブドウがハーブの香りの要素を持っている事もありますが、最も良く言われるのは「ハーブの香りがブドウに移る」というものです。実際、みどりや酒店でガリッグの香りがするワインは、必ず畑の周囲がハーブに囲まれています。彼等のワインを飲むと、野生のハーブに囲まれた美しいブドウ畑を思い起こすようです。

 ハーブの香りがふんだんにあるワインは、お食事をより一層楽しいものにしてくれます。南フランスにならい、ハーブがアクセントとなっている料理に合わせてみましょう。例えばハーブオムレツ。キレイにオムレツを焼くのは難しいですが、いつもの卵焼きにハーブをパラッと足して、オリーブオイルで焼いてワインと合わせてみて下さい。それだけで食卓がちょっと特別な物に早変わりします。より地中海を味わいたい方は、ラタトゥイユ、お魚やお肉の香草焼きを用意しても良さそうです。

 ガリッグの香りは、いうなれば気候風土(テロワール)をよく表したものであり、手軽に爽やかな地中海を想起させてくれます。セラーに1本入れてあると、その時の食卓や気分に合わせられる料理がより一層広がるでしょう。初夏の時期から秋に掛けて、特に重宝しそうです。

小林

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