Midoriya Vin Nature
Column
シャトー・ヴィニョルの会@神楽坂「めくる荘」
ワインのこと

シャトー・ヴィニョルの会@神楽坂「めくる荘」

さて13日の会ですね。
今月は、今厳しい状況にあるボルドーのVIGNOLヴィニョルです。
久々ですね。

ヴィニョールと云えば、奥さんのドミニックさんが、ニューイヤーコンヴェンションの時に日本へも来て頂いたことがあります。一緒に日本中を訪問した記憶があります。

毎日移動のかなりハードはスケジュールでしたが、いつもニコニコしていたのが印象的でした。

ドメーヌでは、お父さんのベルナールが、石灰質土壌の良さを生かすことに最大の注意をはらいながら葡萄栽培をやっている姿が印象に残っています。

畑の美しさは天下一品でした。

今では、この二人の兄弟、ジャン・トーマとアレクサンドルの二人が主体で頑張っています。

現在、4つのシャトーにわたり合計60ヘクタールを栽培し、5人の常勤従業員と共に忙しい日々を送っています。

ドメーヌの運営は現在、お母さんのドミニク・ドゥブレさんとその長男ジャン・トマ、次男アレクサンドルが担っています。

• シャトー・グラーヴ(1987年取得)
• サン・テミリオン(2009年取得、2.5ヘクタール)

アレクサンドルは主にブドウ栽培と醸造を担当し、ジャン=トマは販売を担当しながら、醸造においてもアレクサンドルをサポートしています。

ドメーヌはオーガニック認証を取得していません。その理由は、この広大な土地を管理するための十分な人材を確保するのが難しいためです。

有機農法ではより多くの作業や従業員が必要となり、専用の機械を扱うための訓練を受けた人材も求められます。しかし今、フランス中の蔵元の悩みは、いい従業員を確保が難しい状況です。

その上、ボルドー地方は現在、大きな危機に直面しており、多くのワイナリーが顧客を見つけるのに苦労して、経営難に直面しています。

しかし、ドゥブレ家は手頃な価格と安定した品質を維持することで、何とかこの状況を乗り越えています。とはいえ、人手不足が続く中、将来を見通すのは容易ことではありません。

そんな訳で、ビオ栽培とはいかないけど、可能な限り土壌を生かした栽培をして、可能なかぎり手頃な価格をキープすることに徹しています。

その上、天候の不順による栽培の困難さも年々ひどくなってきています。
2024年は、年間を通じた激しい降雨により困難な年となり、収穫量が極端にすくないミレジムとなりました。

2025年についてはまだ予測が難しいものの、年初の気象条件は比較的安定しているようです。

そしてこの2025年ミレジムから、シャトー・ヴィニョルは新たなキュヴェ、ルージュ・フュージョンを誕生させます。

このアイデアは、クラシックなラインナップに新たなスタイルを加えたいという次男のジャン=トマの発想から生まれました。

マルベックを主体とし、軽やかでフルーティーな味わいが特徴です。

ジャン=トマのパートナーであるペリーヌさんは、フランス国内で3冊の小説を出版している作家です。ルージュ・フュージョンという名前は、彼女が2021年に発表した同名の小説に由来しています。

ボルドーの品種の中でもメルローでもカベルネでもないマルベック品種を使用して、更に軽すぎもしない、濃縮すぎもしない飲み安いスタイルに仕上げた新たな融合を狙ったスタイルのワイン。

文学的な繋がりを持ったワインは、伝統を守りながら新たな挑戦をするドゥブレ家を象徴するキュヴェとなりそうです。

Yoshio Ito

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