Midoriya Vin Nature
Column
13日の会「イャニック・アミロ」@Bistro Chipie
ワインのこと

13日の会「イャニック・アミロ」@Bistro Chipie

2024 Yoshio Ito 氏 LINEより抜粋

さて、13日の会ですね。

今月は、カベルネ・フランに人生の全てをかけているヤニックさんのいるYannick Amilloltヤニック・アミロ醸造です。

先週、訪問してきました。

驚愕の進化を遂げていました。
心の深いところで感動してしまいました。

ヤニックお父さんは、正式には引退していますが、全く以前と変わらず毎日畑に出て働いていました。

今は息子のブノワが引き継いだかたちなっています。
そして、もう1人すごいパッションの人ミッシェルが従業員として働いていました。
この人が醸造の細部まで神経を配って仕事を遂行していました

アミローファミリーもミッシェルに全面的な信頼をよせてワイン造りを一丸となってやっている、という感じでした。

残念ながら、訪問時に私が到着する直前に大切な案件が発生してお父さんのヤニックは出かけて、会えませんでした。

ブノワとミッシェルと一緒に試飲しながら最近の造りの進化の話しをすることができました。

兎も角、ワインの質の高さに、驚きました。
どうしたら、こんな美味しいカベルネ・フランが完成するのか?
信じられないほどに感動でした。

あたり前ですが、
まず第一に畑の状態が素晴らしかったです。
“趣味が畑仕事”と言い切るヤニックが人生をかけて磨いてきた畑です。
この畑で育った葡萄が凄い上質な要素を備えていることが察せられる状態でした。

健康そうな草が生えていて、その草の細かな根っ子がやさしく土壌を包んで育くんでいて、土中の微生物やミミズたちが住みやすい環境を整えてくれているのがわかります。

こんな素晴らしい畑で、育った葡萄は、色んな要素を土壌から吸収して、素晴らしいポテンシャルを持った果汁、果肉、果皮を備えた葡萄ができるんだろうな、と想像できました。

私が一口ワインを口中に入れて、その繊細さ、上品さに驚いたのでした。
尋常の繊細さではありませんでした。
1―
丹念に世話して理想的に熟した葡萄、つまり糖度とアントシアン(タンニンと色素)のバランスがいい状態で、上質な要素を備えた葡萄を収穫できたことがわかる繊細さでした。

2-更に、いい状態の葡萄を仕込む時、新しい挑戦をしていました。
  以前は普通に除梗・破砕をしてトラディション醸造をしていました。

ここでの進化
*除更はしますが、破砕はしません。(破砕すると、果皮が破れてエグイ、タンニンが抽出されることを防ぐことに繋がります。)
葡萄粒が、まん丸のまま破砕されないで発酵槽に入れられます。

 この方法は、よくジュラ地方の造り手が繊細さを出す為によくやる方法です。
3-発酵槽の種類
発酵槽は、トロンコニック型の木樽が増えていました。それとステンレスタンクも使っています。
ここからが、大変重要な部分です。

 大型トロンコニック型の木樽の発酵は、発酵中から酸素が僅かですが入って、微量の酸化状態になって、発酵中から酸素に馴染むことができる。やさしいタッチのワインになりやすい。

まず葡萄粒を破砕していないの、発酵槽の上から見ると、丸い葡萄粒が、まるでキャビアのような感じで大変美しいでrす。
この状態で、ゆっくりとアルコール発酵がはじまります。勿論、自生酵母のみでの発酵です。 (自生酵母が元気に活動できるようにSO2も醸造中の使用はありません。(最終の瓶詰時に、極小の15mmgから20mg程度しか入れません。)

4-ルモンタージ(発酵槽の下からジュースを出して上から再度、発酵槽に入れる作業)はやらない。
荒々しいルモンタージをやると、果皮の中にあるエグイ感じのタンニンが抽出される可能性があるので、普通のルモンタージはやりません。
そのかわり、非常にやさしく発酵槽の上部にあるマールを濡らす程度のシャワーのような果汁を下から抜きとかける程度のシャワーリングをやります。
ここのやり方でやれば、発酵に必要な酸素と、マール上部が乾いて雑菌が発生することを避けられるのです。

5)発酵槽内にガスが充満して、少しだけ葡萄粒内でカルボニック醸造のような現象が発生して、よりやさしい果実がワインに表現されることになる。(特にカベルネ系の葡萄にある“青っぽい風味”をやさしい果実風味になる)
 
6)マセラッション(カモシ)期間は4週間とやや長いめですが、どこまでも優しい作業をしているので、荒いタンニンや青いい風味が抽出されることがない。

7)カモシを終えて発酵槽からマールを出す時に、発酵槽の下から流れでるフリーラン(半ジュース・半ワイン)をタップリ使用して、マールを絞って出すプレス・ワインの使用率を少なくしている。

  キューヴェによっては、60%から70%、また90%のフリーランしか使用していないキューヴェもあるようです。
次回訪問時にもう一度確認しましょう。こんな造りですから上品なワインになるはずである。

  特にアンフォラを使ったキューヴェは、もう心から感激するほど上品で、繊細なワインでした。

8)熟成も大樽、中型樽、アンフォラ、中型壺、など熟成も色んな挑戦をしています。

こんな風に、ただ醸造の一部だけでも豊富な挑戦と進化をやっています。
アミロ醸造のワインは、多くの星付きレストランが使用しています。

今回は、豪雨でアリエ醸造への道が不通になっていて訪問できなかったので、比較できなかったのが残念だったけど
ヤニック・アミロ醸造のカベルネ・フランのワインはトップ・クラスに入るのではないかと思う。

こんな素晴らしいワイン達を日本に紹介できる喜びをひしと感じる訪問となりました。

皆さん、ヤニック・アミロは、私達の“宝中の宝”の一つです。

ホントに自信をもって、大切なお客さんにお勧めください。
自然派好みのお客さんにも、ワイン学校で学んだ愛好家、ソムリエにも守備範囲の広いスタイルのワインです。

真っすぐで透明感があり、妙なオフ・フレーバー的なものは皆無です。
間違いなくESPOAの看板ワイナリーの一つです。

80店ほどの有名レストラン(星付きも含む)がアミロのワインを使っているようです。

13日の会、多くの皆さんと喜びを共感しましょう!!

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