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火打ち石の土壌から生まれるワイン
ワインのこと

火打ち石の土壌から生まれるワイン

みどりやで数多く取り揃えているヴァン・ナチュールの中でも、取り分けミネラル感に溢れるワインを造っているワイナリー「ドメーヌ・ジャッキー・プレス」。
私は2018年のフランスのワイナリーツアーに参加した際、この造り手に会いに行く事が目的でした。

このドメーヌ最大の特徴は、何と言っても畑に大量に存在する「火打石」。
この火打石は石灰質の鉱石で、外見は白く、中はきらめきを帯びた灰色をしています。
この石が畑に満遍なく存在する為、白や灰色の土壌に鮮やかな果樹の緑が生える、美しい風景となっていました。

この火打石はもともと地中に埋まっている物の他、別の場所で採取し撒いた物もあります。
なぜ、わざわざそんな事をするのでしょうか?
ジャッキー・プレスさんに聞いてみた所、どうやらこの石は3つの大きな役割を持っているようです。

1つめは保温効果です。火打石が、昼間日光で生まれた熱を蓄えておく事で、夜間の急激な冷え込みによる果樹への悪影響を緩和させる事が可能となります。

2つめに光合成の促進があります。火打石は土よりも日光を反射させやすく、太陽から降り注ぐ日光と地面から反射させる日光で、より活発に光合成が行われるそうです。

3つめは味わいについてで、ワインに独特のミネラル感を与える事です。ワインがミネラル分を含む事で心地良い舌触りが生まれ、また後口をサッパリとさせてくれます。ワインにチョークやスモーキーさのような、独特の風味を与える事もあるそうです。

ジャッキー・プレスさんの造るワインは、どれもミネラル分豊富です。「ワインのミネラル感って何?」という方は是非、彼のワインを飲んで体験してみて頂きたい所。

御年70を超え、毎日土いじりをしている本物のワイン生産者の作品です。
遠いロワール地方の美しい畑に思いを馳せつつ、心地良いミネラル感をご堪能下さい。

小林康弘

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