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ドメーヌ・ムリニエ/オリーゴ・ヴィーニ 2022
ワインテイスティング

ドメーヌ・ムリニエ/オリーゴ・ヴィーニ 2022

Domaine Moulinier / Origo Vini
シラー 100%

南フランス・ラングドック地方にあるワイン生産の盛んな村「サン・シニアン」。この地にシラーを持ち込んだのはドメーヌ・ムリニエの初代当主、ギィ・ムリニエ氏でした。

理由は、このサン・シニアン村にシラーの最高の生産地「コート・ロティ」に通ずるテロワールを見出したからという訳なのですが、その場所は畑どころか農地ですらなく、雑草が生え岩が散在する急斜面の丘でした。

しかしながら、彼のパッションはそんな障害すら乗り越えます。岩をどか土地を整え、作業の果て畑を開墾。自身で見出したテロワールを貫いた彼は、ついに「世界のシラーコンクール」にて2年連続TOP3入りするという栄誉を獲得するのです。

その情熱と誠実な仕事は現オーナーのステファン氏にも受け継がれ、今でも非常に良質なシラーを造り続けています。

前置きが大変長くなりましたが、今年のビッグ・ニュース!

なんとムリニエさんが酸化防止剤完全無添加のワインを造ったのです! もちろんセパージュはシラー100%。こんなの飲むしかないでしょう。逸る気持ちを抑え、ちょっと落ち着かせてから抜栓した次第です。

紫色を帯びた濃いルビーの色調はフレッシュさを強調しており、飲む前から弾けるような果実味を期待させます。

グラスからはブルーベリーのジュースのような香り漂い、ほんのりと紫色の花やスパイスのニュアンスを感じます。

口に入れるとブルーベリーやラズベリーの果実感が軽やかに舌を打ちます。味わいは鮮やかで、後味にはほんのりとヨーグルトっぽさも感じられます。タンニンも非常に穏やかで、スムースな飲み口です。

この飲みやすさだったら、これからの初夏の季節にも美味しく飲める事でしょう。完熟したシラーの上澄みだけをキレイに掬い取ったような、ピュアな味わい。飲むたびに気分が明るくなるような、魅力的なワインでした。

小林

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