ドメーヌ・ヴィエイユ・ジュリアンヌ
歴史について
この醸造元の歴史は長く、18世紀初頭にまで遡ります。現在のオーナー、ジャン=ポール・ドーマン氏で5代目です。ドーマン家がこの地を手に入れたのは1905年の事。以来、着実に力を付け、かつてネゴシアンへの樽売りが主力であった時代に、いち早く醸造者元詰めとういう形態でワインを売り始めたパイオニア的存在でもあります。また、ヨーロッパ全土を襲ったフィロキセラの害を逃れた希少なワイナリーで、樹齢100年を超える樹が今なお実を結んでいます。ジャン=ポール氏自身は、1991年よりオーナーとしてワイン造りを率いています。
地理について
ドメーヌの所在はコート・デュ・ローヌ南部です。シャトーヌフ・デュ・パプの中でも最北に位置します。この地区では珍しく北向きの畑である事により、夏の暑さが厳しいコート・デュ・ローヌ地方でもフレッシュさを残すことが出来きます。その為“フィネス”と呼ばれる繊細さやバランスに優れたワインを造り出す事が出来るのです。
気候について
コート・デュ・ローヌ南部は、地中海性気候で、ミストラル(ローヌ渓谷を吹きぬける強い北風)の影響を受ける、1年を通して非常に乾燥した気候を有しています。
土壌について
土壌は主に石灰岩質の瓦礫が混ざる赤粘土質土壌でできています。表土は砂利質の土壌が多く、日中は温かさを蓄え、夜間に熱を発散して果実の成熟を助けます。区画は日差しに適した丘の中腹にあり、充分な日照量を得ています。
栽培について
ここではできるだけ自然な形でワインを造るよう、除草剤や化学肥料は一切使用せず、昔ながらの伝統的な方法で栽培をしています。ドーマン氏は、この地の非常に特徴のある土壌の個性を表現することに情熱を傾けているのです。
ただ、自然を尊重するには、手をかけすぎて自然環境を変えてはいけないと言います。雑草を適度に耕して除草すれば、自然にバランスが取れた環境ができあがり、有機農法が可能となるのです。
病気の対策について、現在は畑の自然環境が全体にバランスが取れているため、樹齢の高い古木に関しては比較的容易になっているそうです。収穫量を低く抑えることで病害虫に対する抵抗力が高まっているとの事です。有機農法で使う農薬でさえあまり必要としません。若い樹に関しては、畑の状態をまめにチェックしながら、ボルドー液など天然の物を使って対応しています。
なお、2004年からは全ての区画で「ビオディナミ農法=生力学農法」を実践しています。2010年にはビオディナミ農法の公的認証機関である「Demeter(デメテール)」により正式に認定されました。
収穫は主に手摘みです。葡萄畑と醸造所の2ヵ所で丁寧に選果作業を実施しています。葉っぱや未熟果等を取り除いて、完全に熟した果実だけを選別します。
醸造について
収穫時にSO2(亜硫酸)を添加しません。補酸・補糖分も無しです。天然酵母の活動により醗酵が自然に始まるため、酵母も添加しません。赤とロゼはコンクリートタンクで醗酵させ、大樽で熟成します。白はステンレスタンクを使用します。醸造中はなるべく介入をせず、自然に任せるようにしています。醗酵後、ワインを動かし樽に入れる際にも、ポンプを使わず、重力のままに流し込みます。1年間の熟成の後、清澄もろ過もせずに瓶詰めします。
評価・プレス
☆ロバート・パーカーJr.「The Wine Advocate」で、「シャトーヌフ・デュ・パプ・レゼルヴ」の2000 年、2001年、2003年、2005年が、100点満点という高評価。
☆ワインファンに定評のあるガイドブック「フランス最高ワインガイド(旧クラスマン)」で、毎年必ず高評価を獲得。