Midoriya Vin Nature
Domaine
ドメーヌ・ムリニエ
ラングドック地方

ドメーヌ・ムリニエ

 ムリニエ家は、代々ブドウ栽培を行ってきた家系です。現オーナーの父、ギィ・ムリニエ氏はラングドック地方のサン・シニアン村に生まれました。ある時ローヌ地方に住み、「コート・ロティ」など、シラー主体のワインに魅せられます。
 サン・シニアン村に戻ってから、8haの畑でブドウ作りに励む傍ら、コート・ロティのようなシラーの銘醸地となる条件の土地を探し回りました。そして1980年、当時まだ岩だらけの斜面だったところを理想の畑となり得ると信じて購入。荒れ地であった場所を自分で開墾し、そこにサン・シニアン村で初めてとなるシラーを植えました。

 ムリニエ家では1992年まで作ったブドウを農協に納めていましたが、翌年より自分のワイン造りを始めました。この醸造元ビン詰めを、サン・シニアン村で初めて実現したのも父・ギィ氏でした。
 理想の畑を手に入れたギィ氏はブドウの栽培とワインの醸造に情熱を注ぎます。その後、世界のシラーコンクールにおいてトップ・キュヴェ「レ・テラス・グリエ 1999」が世界第2位となる快挙を成し遂げます! この瞬間、ギィ氏が理想としていたコート・ロティ等のシラーの銘醸地のものと、肩を並べるワインとなったのです。
 今や世界中から評価される蔵元となり、ドメーヌ・ムリニエは地元でもヒーロー的存在となりました。
 現在は、栽培・醸造を主に次男のステファン氏が担当しています。

 ムリニエ氏がドメーヌを構えるサン・シニアン村はラングドック地方北部に位置し、周囲を小高い山で囲まれた比較的冷涼な土地です。この村では、昔から川沿いの低地の畑(粘土質)で量産している農家が多く、作業がしにくい山の上の岩だらけの斜面でブドウを栽培するのは、難しいと言われていました。

 サン・シニアン村は標高が高い場所にある為、ラングドック地方にあっても比較的冷涼な気候です。「タラモンターニュ」と呼ばれる山からの吹きおろしの風が病気から守り、ブドウに上品な酸を与えています。彼が開墾した畑は、サン・シニアン村の中でも特に標高が高い所にある為、より効果的に影響しています。

 この村の土壌は、中央を流れる川によって粘土石灰質とシスト土壌にほぼ2等分されます。ドメーヌ・ムリニエではその両側に畑を所有しており、それぞれに分けてワインを造っています。
 また、グレと呼ばれる小石混じりの赤い土壌が1~2%のみ存在しています。そこにも畑を所有しており、そこではシストという石灰質土壌に似たワインができるとの事です。

 土中には太古の地層が広がり、恐竜の卵や骨、原人の石器や土器など、多くの化石が発掘されています。標高は200~300m。畑はガリッグ(野生のハーブ)に囲まれており、ワインにもその香りが現れています。

 ブドウの栽培については、極力農薬を使わない“リュット・レゾネ”を実践しています。摘芽はボルドーのグラン・クリュ並で1株に6つだけ芽を残す、驚異の低収穫量で見事な凝縮度を実現しました。 毎年冬には、酸素を送り込んで微生物の活性化を助ける事と、また除草を目的に畑を耕しています。施肥は必要に応じて植物原料の有機肥料のみ使用しています。

 収穫はすべて選果しながら手摘みで行います。。区画ごとの熟度によって数回に分けて収穫します。                                              完熟しすぎる前、つまり酸が少し残るくらいの時の収穫が大事だそうです。これによって夏の暑さが大変厳しいこの地において、ワインにフレッシュさを与える事が出来ます。

 醸造において、ブドウは100%除梗。アルコール醗酵は、小さなトロンコニック型のステンレスタンクを使用し、区画ごとに分けて行います。その後、粘土石灰質由来の「ロゼ」「原人」「トラディション」になるワインはステンレスタンクで、シスト土壌由来の「レ・シジレー」、「レ・テラス・グリエ」になるワインは樽で熟成させ、最終段階でブレンドをします。

 世界トップレベルのシラーとして選ばれた後、様々なコンクールで受賞し、著名なワイン評論家からも高い評価を得る事になりましたが、近年ではコンクールやガイドブックに出品していません。
 それは良い作柄の年だけ大量に買われ、その他の年は目を向けられない事に違和感を覚えたからです。「どんな年でも、自分は全力を尽くしている。」ムリニエ氏は、世間の公的評価に翻弄されるのではなく、その姿勢を理解してくれる人に、飲んでもらえる事を願い、ワインを造っています。

 

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