ラ・フルール・デュ・ロワ
CHÂTEAU LAFLEUR DU ROY
歴史について
1289年に十字軍の騎士団が、この地に病院と教会を建て、巡礼者達にポムロールのワインを飲ませて休息させていた記録が残っています。しかし、100年戦争(1337~1453年)のときに、この地は戦場と化し、葡萄園はほぼ全滅してしまいました。つまり、現在のポムロールの葡萄園は、100年戦争以降に再生されたものなのです。
このシャトーの葡萄園は、代々デュボスト家によって運営されてきたが、シャトー名を名乗って醸造元元詰めを始めたのは1958年、現在の所有者イヴォン・デュボスト氏の代からです。デュボスト氏は、1995年まで永年に渡りポムロール市長を務めたほどの人物で、地元での信頼も絶大です。
何故なら、この人はポムロール・ワインの発展のために多大な情熱を注いだ人物だからです。一時は苗木の研究と栽培も自分で行ない、あの“シャトー・ペトリュス”からも苗木を買いに来たほどでした。今でも、“ペトリュス”で苗木の栽培上の問題が生じると、デュボスト氏にアドバイスを求めに来る事もあります。
気さくで人情味あふれるデュボスト氏には、世界中に多くのファンがいます。特にベルギーには熱狂的なファンが多いようです。現在、長男のロランさんが完璧に栽培、醸造技術を継承し、運営を任されています。彼もまた父親に負けず、品質向上への努力を惜しまない人物です。数種類の葡萄の苗木を実験的に栽培し、より品質の高い葡萄を収穫する為の研究を続けています。
地理について
シャトー・ラフルール・デュ・ロワは、ボルドー五大銘醸地区の中で最も小規模なポムロール地区にあります。ポムロール地区は土壌と品種の組み合わせにより、まろやかさとコク、そして豊潤なアルコール分を持った個性的な赤ワインが造られる産地とされ、世界中にファンがいるほどです。このワイナリーは「カテュソー」という村にあり、ポムロールでも特に優秀な葡萄を産出するといわれている、やや高台になった一帯に畑を持っています。
気候・土壌について
大西洋から吹く風がなだらかなボルドーの大地を通り、温暖な気候をもたらしています。途上は小石混じりの砂質で、その下はポムロール特有の鉄分を含んだ地質です。昔からポムロールのワインは貧血に良いと言われているのはこのためだと云われています。
栽培について
イヴォン・デュボスト氏の息子であるロランさんが栽培・醸造学の勉強を終え、1986年よりワイン造りに参加しています。ここでは「一株当たり4~6芽になるよう厳しい剪定をする」「完熟のタイミングを待って、最高の状態で手摘みする」「約3週間にも渡る長期のマセラシオン」という3点を重視してワインを造っています。また「リュット・レゾネ(除草剤等の農薬を極力使わない農業)」を取り入れており、システム的な農薬散布は行いません。土壌に宿る動物相(昆虫や微生物)と植物相が活性化された状態を維持して、樹勢のバランスの取れた丈夫な葡萄を育てるように心掛けています。
葡萄の生育期間中は樹の栄養が無駄なく果実に蓄積されるよう、摘芽、摘心、過剰果の間引きなど毎日葡萄の状態を観察しながら手入れを続けています。肥料は、窒素・リン・炭酸カリウムを主成分とする堆肥を、毎年少量ずつ与えています。
収穫は一房ずつ丁寧に手摘みした後、果実が潰れないようにプラスティックケースで運搬しています。
評価・プレス
「デキャンタ・コンクール」で、三ツ星評価を獲得。
「パリ国際農業コンクール」や「アキテーヌ・コンクール」で、何度も金賞を受賞。
「ギィド・アシェット」でも星付きの高評価を獲得。